余剰買取制度とは?FIT制度や全量買取との違いや特徴を解説

エココト編集長 2022-6-15
余剰買取制度について書かれた記事中のイメージ画像です。

太陽光発電の導入を検討しようしている方の中には、「余剰買取」という言葉が気になっている方もいらっしゃるでしょう。また、余剰買取について気になって調べると、「余剰買取」・「余剰買取制度」・「余剰電力買取制度」と似た用語が出てきて混乱を生じることもあります。

意味としては基本的に同じですが、まったく同じではありません。正確には、余剰買取もしくは余剰電力・余剰電力買取制度といった用語が、国や電力会社で用いられています。とはいえ、余剰買取制度といえば一般的に余剰電力買取制度のことを指します。

そこで今回は、太陽光発電の設置を検討中の方へ向けて、余剰買取制度や余剰買取、余剰電力買取制度など、関連する用語の意味や特徴について解説します。それぞれの意味の違いにも注目しながら確認してみてください。

余剰買取制度と旧制度

まずは、固定価格買取制度(FIT制度)の前身となる、余剰電力買取制度から解説します。また、ここでは通称「余剰買取制度」として、旧制度の概要や特徴を紹介しますが、正確には余剰電力買取制度です。

2009年11月1日に始まった制度

おてがるでんち

余剰買取制度(余剰電力買取制度)とは、2009年11月1日に国が始めた電力買取制度のことです。

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後段で解説しますが、現在国が運用管理しているFIT制度(固定買取価格制度)と共通点もあるものの、大部分は変わっています。そのため、余剰買取制度は「旧制度」とも呼ばれています。

余剰買取制度は太陽光発電で発電した電気を、電力会社が一定期間買取義務を負う制度です。

発電した電気の売電価格は、制度の申請年から10年間固定となります。また、売電価格は毎年改定され、申請年によって変わります。

余った電気のみ売電できる

余剰買取制度の大きな特徴は、家庭や企業などが太陽光発電で発電した電気のうち、自家消費後に余った電気のみ売電できるルールです。

自家消費は、たとえば太陽光発電で発電した電気を、自宅の冷蔵庫や電子レンジ・エアコンや暖房機器などに使用する消費方法です。

そして余剰買取制度の場合は、発電した電気をIHクッキングヒーターやエアコン、電子レンジなど電気機器に使用したのち、余った電気のみ売電できます。

メリットとしては、売電収益と電気代削減効果を両立できる点でしょう。しかし、発電した電気を全て売電できないため、売電収益を伸ばしにくい点はデメリットといえます。

余剰買取制度時の買取価格

2009年11月に始まった余剰買取制度では、以下のような固定買取価格でした。

出力10kW未満および住宅での発電:48円/kWh
出力10kW以上500kW未満および企業での発電:24円/kWh
出力10kW以上500kW未満および住宅での発電;24/kWh(事業目的の場合は電力会社との相対契約)
出力500kW以上の住宅・企業での発電:電力会社との相対契約
企業が事業目的で発電する場合は電力会社との相対契約によって決める

相対契約とは、電力会社が個別に価格を交渉する方法のことです。

また、後段で紹介するFIT制度と違い、固定買取価格を高めに設定しています。

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余剰買取制度とFIT制度の違いや概要

続いては、現在運用されているFIT制度と、旧制度の余剰買取制度の違いについて分かりやすく解説します。

2012年にFIT制度へ切り替わる

余剰買取制度(旧制度)は2012年に終了しましたが、同年にFIT制度(固定買取価格制度)を新たに設置しました。

大きな違いは、太陽光発電以外の再生可能エネルギーも固定買取に含めていたり、全量買取も用意していたりしている点でしょう。

余剰買取制度は太陽光発電のみ対象にしていましたが、FIT制度では以下のエネルギーを対象にしています。
太陽光
風力
水力
地熱
バイオマス

また、全量買取とは、発電した電気を無条件で全て売電できる方式のことです。次の項目で詳しく解説します。

余剰買取制度と全量買取制度の違い

ここでは買取の仕組みという観点から、余剰買取と全量買取の違いについて解説します。

主なポイントは2点あります。
買取方法
買取期間

発電した電気を自由に全て売電できるかどうか

余剰買取と全量買取の大きな違いは、発電した電気の取扱です。

余剰買取:発電した電気のうち、自宅やオフィスで自家消費したのちに余った電気のみ売電できる
全量買取:発電した電気を、無条件で全て電力会社に売電できる

また、余剰買取の他に買取期間や出力に違いがあります。(FIT制度)具体的には、出力によって買取方式・買取期間が変わります。

【太陽光発電:2022年度の場合】
出力10kW未満:余剰買取、固定買取期間10年間
出力10kW以上50kW未満:地域活用要件によって余剰買取・全量買取を決められる、固定買取期間20年間
50kW以上250kW未満:全量買取可能、固定買取期間20年間
250kW以上:全量買取可能、固定買取期間20年間
※50kW未満のソーラーシェアリングの場合、10年間の一時転用が認められれば全量買取かつ固定買取期間20年間を適用

FIT制度も発足当初から細かな条件や金額・期間を適宜変更していて、特に出力区分は細かくなっています。また、買取方式と共に固定買取期間も10年間と20年間に変わります。

FIT制度は不定期にルールが改定されるため、これから導入の準備を始める方は経済産業省のWebサイトなどから定期的に更新情報を確認してみましょう。

余剰買取制度とは旧制度もしくは余剰買取を指す通称

余剰買取制度は通称で、余剰買取の仕組みを指したり旧制度「余剰電力買取制度」、もしくはFIT制度の余剰買取に関する項目を指していたりします。

ですので、余剰買取制度という文言がでてきた場合は、前後文脈からどの状況を指しているのか判断しましょう。

余剰買取の仕組みは2022年度も引き続き継続される方向です。また、出力10kW未満の太陽光発電設備、そして出力10kW以上50kW未満のうち地域活用要件を満たしていない太陽光発電設備は、余剰買取を適用しています。

これから太陽光発電設備を購入・設置する方は、買取方式についてもよく調べて理解しておきましょう。収支計画や初期費用回収などに大きくかかわる項目です。

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