太陽光発電の買取終了とは? FIT制度や制度終了後の運用についても解説
太陽光発電の設置を検討している方の中には、「太陽光発電の買取終了」といった文言を目にしたことがある方が多いのではないでしょうか。太陽光発電の買取終了と聞くと、今後は買い取ってもらえなくなる、とイメージしてしまうでしょう。しかし、実際はそうではありません。
太陽光発電で発電した電気は今後も売電できますし、FIT制度も運用中です。FIT制度の適用期間が終了した後も、電気の買取自体は今のところ継続して行われる予定です。
では太陽光発電の買取終了とはどういうことなのか?
今回は、太陽光発電の買取終了の意味や注意点、買取終了後の運用方法について分かりやすく紹介します。
太陽光発電の買取終了の意味
まずは、太陽光発電の買取終了とはどのような意味なのかを解説します。ポイントは「FIT制度の適用期間」です。
FIT制度を理解しておけば、正しく太陽光発電や関連制度を把握できるようになります。
FIT制度と太陽光発電
太陽光発電の買取終了に関して確認する前に、FIT制度を簡単におさらいしておきましょう。
FIT制度とは、再生可能エネルギーの売電・買取に関する共通ルール・義務を定めた制度のことです。太陽光発電をはじめ風力・水力・バイオマス・地熱エネルギーを対象にしています。
FIT制度では、以下のような取り決めがあります。
• 個人や法人が再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社は一定期間買取る義務がある
• 売電価格は固定(運用開始年の価格が期間中適用される)
• 太陽光発電の場合は、10年もしくは20年間、固定価格で売電できる
• 売電価格は国が定める
• 売電価格は毎年変わりる
電力会社は、一定期間固定価格で太陽光発電の電気を買取らなければなりません。
FIT制度が終了するわけではない
太陽光発電の買取終了と聞くと、FIT制度自体が終了するように受け取れるかもしれませんが、実際は違います。今後もFIT制度を利用することはできます。
では何が終了するかというと、前段で紹介したFIT制度の固定買取期間の満了を指しています。
たとえば出力10kW未満の太陽光発電を、2022年に設置・FIT制度へ申請した場合、10年間は設置年の固定価格で電力会社に売電できます。
固定買取期間および電力会社の買取義務は2032年まで。つまり2032年まで、設置年の買取価格で電気を買い取ってもらえるということです。
そして2033年に「FIT制度」の適用期間が終了し、固定価格による買取や電力会社の買取義務がなくなります。
ただ、FIT制度自体は継続しているので、これから太陽光発電を設置する方も申請できます。
買取終了後も太陽光発電は運用できる
FIT制度での固定買取期間終了後も、もちろん太陽光発電は運用できます。また、設置場所や発電方式・パワーコンディショナー等の交換も不要です。
太陽光発電の運用に不安を感じている方は、買取終了の意味を正しく認識しておくといいでしょう。
ちなみに、自家消費型(発電した電気をすべて自宅で消費できるようにする)へ切り替える場合は、パワーコンディショナーを専用のタイプへ交換したり配線工事を依頼する必要があります。
太陽光発電の買取終了によって変わること
ここからは、太陽光発電の買取終了(FIT制度の固定買取期間終了)によって何が変わるのか、そこにしぼってお話をします。
電力会社の買取義務がなくなる
FIT制度の固定買取期間終了後は、電力会社による買取義務もなくなります。ですので、売電のしやすさ・安定性という点では、デメリットのある変化といえます。
2022年現在は、大手電力会社だけでなく新電力も引き続き電力の買取を行っているので、今すぐ売電できなくなるというわけではありません。
ただ、今後もずっと買い取ってもらえる保証はないので、各電力会社の再生可能エネルギー買取サービスに関する情報を適宜チェックしておくことが大切です。
売電価格が安くなる
太陽光発電の買取終了後の大きな変化といえば、売電価格の低価格化です。FIT制度で定められている売電価格も年々下落傾向ですが、終了後はより安くなる傾向です。
以下、2022年のFIT制度と買取終了後の売電価格をいくつか紹介します。
• FIT制度:17円/1kWh(出力10kW未満)
• 東京電力: 8.50円/1kWh(再エネ買取標準プラン)
• 関西電力: 8.00円/1kWh
• 出光興産:9.5円/kWh、買取サービスのみ契約(北海道、東北、東京エリア)
• 出光興産:11.5円/kWh、電力サービスも契約(北海道、東北、東京エリア)
• 出光興産:8.5円/kWh、買取サービスのみ契約(中部、北陸、関西、中国、四国エリア)
• 出光興産:10.5円/kWh、電力サービスも契約(中部、北陸、関西、中国、四国エリア)
どの電力会社も買取価格8~12円台で設定しているのが特徴です。また、買取終了後の買取価格下落も想定して、固定買取期間内に初期費用回収を目指すのが理想です。
固定価格で売電できない
ここまで何度か触れていますが、太陽光発電の買取終了後は固定価格で売電できません。各電力会社の方針に従って売電することになります。
つまり買取価格は、電力会社の経営方針や業績によって上下することもあります。そのため買取終了後は収支が安定しにくくなります。
太陽光発電の買取終了後の運用方法
太陽光発電の買取終了後は、以下のような運用方法も考えられます。
• これまで契約していた電力会社で引き続き売電(売電価格は下がる)
• 新電力会社へ乗り換えて引き続き売電
• 自家消費型太陽光発電へ切り替えて運用(切替工事が必要)
• 太陽光発電を売却
年間の維持費用に対して、売電収入が上回っていれば引き続き売電するメリットはあるでしょう。しかし、収支バランスが崩れる場合、自家消費型太陽光発電へ切り替えて電気代削減に注力する考え方もあります。
さらに、自家消費型太陽光発電・売電を続けるどちらの場合でも、蓄電池の導入をおすすめします。発電した電気を効率よく活用したり、損失を減らすには蓄電池が重要な役割を果たします。
太陽光発電の買取終了とは固定買取期間が満期になること
太陽光発電の買取終了とは、FIT制度の適用期間が終了するということです。ですので、FIT制度終了後も引き続き売電はできます。
売電価格については変動制・下落傾向という特徴もあり、年間の収支バランスを計算した上で判断するのが大切です。そうした背景から蓄電池の存在が脚光を浴びています。
太陽光発電で発電した電気は、使用もしくは売電しなければ消えてしまいます。蓄電池があれば、長期間電気を蓄えられるので、夜間や電気使用量の多い時間帯に放電(つまり電気を使用すること)し、電気代の削減が期待できます。
買取終了後の運用方法を考える時は、家庭用蓄電池の導入も検討してみて下さい。
▼家庭用蓄電池に関して詳しく知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。
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