太陽光発電による売電収入で確定申告が必要となるケースは?

エココト編集部 2022-6-15

太陽光発電で発電した電力は、電力会社に売ることができます。これを売電と呼びますが、売電で得た収入は条件によっては課税対象となるので、確定申告が必要になることがあります。

今回の記事では、売電収入は確定申告でどのように扱われるのかについて、また、売電収入で確定申告が必要となるケースについて解説していきます。

太陽光発電による売電収入は雑所得として扱われる

太陽光発電による収入は、売電を事業として行っている場合や、他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合を除き、確定申告の中では雑所得として扱われます。

従って、普段から確定申告を行う必要がある方は、売電収入を雑所得に加算しなくてはなりません。それは例えば、不動産所得がある方やフリーランス、個人事業主、サラリーマンであっても年収が2,000万円を超えていたり医療費控除等のために確定申告を行ったりする方などです。

太陽光発電による収入で確定申告が必要となる場合は?

おてがるでんち

それでは、サラリーマンなどの年末調整などで所得税等が精算されている方、つまり、確定申告が不要な方に確定申告が必要となるのは、どのような場合でしょうか。

おてがるでんち

それは、他の雑所得と売電収入を合わせた収入が20万円を超える場合です。ただし、太陽光発電システムの導入費やランニングコストなどを経費として計上することができます。

つまり、他の雑所得と売電収入を合わせた収入からシステムの減価償却費やランニングコストなどを差し引いた金額が20万円を下回る場合、確定申告が不要となり、課税対象とはなりません。

ただし、この場合においても「市民税・県民税申告書」は市区町村へ提出する必要があります。なお、市民税・県民税申告書の提出は、確定申告を行っていれば不要となります。

太陽光発電システムの減価償却費

減価償却は、固定資産の購入金額を数年に分けて経費に計上していくことですが、太陽光発電システムは、固定資産として扱われるため、減価償却することができます。

その法定耐用年数は、17年と定められています。すなわち、太陽光発電システムは、その購入金額を17年に分割して経費に計上することが可能です。

なお、減価償却費の計算方法には、定額法と定率法があり、申告者に都合の良いものを選ぶことができます。定額法は一定金額を償却していく方法、定率法は一定の償却率で償却していく方法です。

ただし、太陽光発電で発電した電力を何らかの事業のために用いた場合は、法定耐用年数が変わりますので注意してください。

参考:国税庁 自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入

確定申告が必要となる発電容量

それでは、太陽光発電の発電容量がどの程度であれば、確定申告が必要となったり課税対象となったりするのでしょうか。ここでは、給与所得者で売電収入以外の所得がないケースについて見ていきます。

発電容量が10kW未満

まず、一般住宅の大部分が当てはまる、発電容量が10kW未満のケースについて考えてみましょう。このケースでは、固定価格買取制度(FIT制度)により、自家消費した電気以外を売電できる余剰売電のみしか選ぶことはできません。

例えば、発電容量9.8kWでは、太陽光発電における電力損失を考慮しても年間9,800kWh程度の電力を発電することができます。さらに、一般家庭の余剰売電比率は70%と報告されていますので、年間6,860kWh程度が売電の対象となります。

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この売電量では、FIT制度の買取価格(FIT認定を受けた年)によりますが、買取価格が17円/kWhの2022年では116,620円、16円/kWhの2023年では109,760円となります。これらの売電収入から、さらに経費を差し引くことになりますので、20万円以上となることはほぼないでしょう。

つまり、発電容量が10kW未満であれば、売電収入だけで確定申告が必要となることはほとんどないことが分かります。

参考:経済産業省 令和4年度(2022年度)の調達価格及び調達期間についての委員長案

発電容量が10kW以上

発電容量が10kW以上のケースでは、FIT制度において産業用太陽光発電とみなされます。この場合、全量売電と余剰売電のどちらかを選ぶことが可能です。売電収入から経費を差し引いた金額が20万円以上となることが多く、確定申告が必要となるケースが多くなります。

さらに、このケースでは、売電収入が事業所得とみなされることもあります。それは例えば、発電量が50kW以上の場合や、家屋の屋根ではなく、太陽光パネルを設置する土地などを用意している場合などです。このケースにおいても、事業所得が20万円を超えていれば確定申告が必要となります。

なお、給与所得者ではなく、事業所得のみの場合で所得が38万円以下では確定申告が不要となります。

まとめ

太陽光発電を導入した場合の確定申告が必要となるケースについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。

確定申告が必要となったり、課税対象となったりするのは、売電を行っているからです。しかし、最近では、蓄電池を手に入れやすくなり、蓄電池を併用することで発電した電力を全て自家消費にまわすことも不可能ではなくなっています。

太陽光発電の一つの活用法として、蓄電池の導入もご検討してみてはいかがでしょうか。

関連:蓄電池は経費に計上できるのか?蓄電池の減価償却について解説

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