蓄電池の種類を知ろう!家庭用の仕様や特徴についても解説

えらぶ家 2022-6-15
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これから家庭用蓄電池を導入する方や、最近蓄電池に関心がある方は、蓄電池の種類や各タイプの特徴についてまだ知らないという方も多いでしょう。家庭用蓄電池も設置方法によって種類があり、利用者もぜひ知っておくべき内容です。

しかし、蓄電池の種類はもちろん、住宅への設置方法についても日常生活で知る機会はほとんどありません。

今回は、蓄電池に興味関心がある方へ向けて、蓄電池の種類や選び方まで解説します。

蓄電池の種類

まずはニッケルなど、仕組みから蓄電池の種類を紹介します。2022年現在、蓄電池は大きく分けて6種類存在します。そして、それぞれメリットとデメリットがあり、活用されている場所も異なるのが特徴です。

鉛蓄電池

おてがるでんち

鉛蓄電池は歴史が長く、最初に開発された蓄電池です。開発されたのは1859年で、現在も自動車のバッテリーなどに搭載されています。

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他の蓄電池よりコストパフォーマンスに優れているのが大きな特徴で、充放電の繰り返しによるメモリー効果(電圧が下がり不安定な放電状況になること)も発生しません。さらに、長寿命(17年前後)という点も鉛蓄電池の優れた特徴です。

しかし、電解液に硫酸を使用しているため、硫酸が水に触れると発熱しますし、水素と混合すると爆発の危険性もあります。そのため取り扱いには注意が必要です。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池は、正極側にオキシ水酸化ニッケル・負極側に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウムを使用した蓄電池です。

大きな特徴は、過充電や過放電に対して耐久性がある点でしょう。過充電とは100%充電した後も充電し続けている状態のことで、過放電は0%の状態が続いている現象を指します。

蓄電池の中には過充電・過放電を行うことで、性能が著しく落ちるケースもあるため、ニッケル水素電池はさまざまな環境下で使いやすいといえるでしょう。

ただ、5年前後で交換しなければいけないため、寿命の短い点に気を付けなければいけません。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池に代わりモバイル機器のバッテリーなど、さまざまな場面で活用されている優れた蓄電池です。身近なところでは、スマホやパソコン・タブレットなどのバッテリーに使用されています。

主な特徴はスピーディに充電ができることと、メモリー効果がないといった点です。また、10年程度まで使用できる寿命の長さも魅力です。しかし、引火点の低い有機電解液を使用しているため、使用環境・管理には注意が必要となっています。

ニカド電池

ニカド電池は、鉛蓄電池に次ぐ歴史の長さを誇る蓄電池です。1899年に開発され、耐久性の高さや大きなパワー(放電量が大きい)が強みといえるでしょう。しかし、ニカド電池に含まれるカドミウムが人体に有害であることや、時間経過とともに自然放電してしまうため、現在主流ではありません。

NAS電池

NAS電池は、日本が開発した蓄電池で新しい技術でもあります。長時間安定して放電できる点や、蓄電容量が大きい点が大きな特徴です。また、大規模工場・発電所などで必要なメガワットクラスの蓄電容量もあり、大規模電力貯蔵施設での活用も想定されています。

ただし、他の蓄電池と違い、300℃まで加熱しなければ作動しないため、NAS電池以外に加熱システムも必要です。

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レドックスフロー電池

レドックスフロー電池は、イオンの酸化還元反応(化学反応によって電子が行き来する)を活用した新しい蓄電池で、優れた機能を持っています。

具体的には電極と電解液の劣化が遅く長寿命(約20年)という点や、常温で充放電ができるといった強みも持っています。また、常温で充放電できるということは、NAS電池のような加熱の必要性がありません。

設置方法から見た蓄電池の種類

続いては、設置方法から見た家庭用蓄電池の種類を解説します。蓄電池は、設置箇所によって設置方法や蓄電容量が変わるため、これから設置する方は特に知っておきましょう。

それでは蓄電池の設置方法について見ていきましょう。

ポータブル型蓄電池

ポータブル型の家庭用蓄電池とは、室内に設置できるタイプのことです。具体的にはコンクリートによる基礎工事や配線工事など不要で使用できるのが特徴です。その代わり蓄電容量および蓄電池のサイズは小さく、コンパクトな設計となっています。

一般的には蓄電容量3kWh前後で、モバイル機器や非常時のラジオ・テレビなどの電源供給として活用できる仕様といえるでしょう。

定置型蓄電池

定置型蓄電池とは、一般的に屋外へ設置するタイプのことです。また、コンクリートによる基礎工事や配線工事が必要です。蓄電容量は10kWhなど大きな容量となっていて、一般的に500mm×700mm×500mm前後と小型冷蔵庫に近いサイズ感です。

また、電子レンジやIHクッキングヒーター、エアコンなど、複数の家電や照明へ電源供給できるのが強みとなっています。ただ、一定の設置スペースが必要なだけでなく、日光や雨水など周辺環境にも配慮しなければいけません。

停電時の運用方法によって蓄電池の種類は変わる

ここからは運用方法から見た蓄電池の種類を紹介します。蓄電池は、停電時にどのように電源供給するかどうか設定しなければいけません。そこで、全負荷型と特定負荷と呼ばれる種類に分かれています。

住宅全体へ電源供給できる全負荷型蓄電池

全負荷型蓄電池とは、停電時に住宅内の全ての電気機器・設備へ電源供給できるタイプのことです。自動で切り替えてくれるため、分電盤などの調整不要で手間もかかりません。

また、最近の家庭用蓄電池は、電子レンジ8時間・冷蔵庫150時間以上稼働できるタイプもあり、停電復旧まで全部屋・各種電気機器を使用できる容量・性能を持っています。

非常時の活用も考慮した場合は、全負荷型蓄電池を検討するのがいいでしょう。

事前に接続した部屋のみに電源供給できる特定負荷型蓄電池

特定負荷型蓄電池とは、配線工事の際に接続した設備・部屋のみに電源供給できるタイプのことです。

たとえばリビングと浴室、2階の1部屋のみに接続した場合、停電時にそれ以外の部屋には蓄電池で蓄えた電気を使用できません。そのため特定負荷型蓄電池を設置する場合は、停電時にどの部屋を使用するのか決めておく必要があります。

ただ、停電時に全負荷型蓄電池よりも蓄電容量を使い切りにくい点は、大きなメリットといえるでしょう。

全部屋へ電源供給する必要がない場合は、特定負荷型蓄電池を検討してみてはいかがでしょうか。

家庭用蓄電池を選ぶ際に押さえておくべきポイント

家庭用蓄電池に用いられているタイプは、主に3種類です。

それでは選び方について見ていきましょう。

どれだけ電気を蓄えられるか

まずは、1回の充電でどれだけ蓄えられるか「蓄電容量」を、比較・確認しておきましょう。蓄電容量は、各製品で定められているため、後から変更調整できません。

蓄電容量は1kWhという単位で表記されていて、10kWhや5kWhなど多種多様な家庭用蓄電池があります。

電子レンジや冷蔵庫を複数同時使用したい場合は、一般的に5~10kWh程度でしょう。しかし、正確ではありませんので、蓄電池設置業者へ見積もり・相談の際に蓄電容量も質問してみましょう。

サイズおよび設置方式

蓄電容量を考える際は、蓄電池のサイズと設置方式についても確認するのが大切です。蓄電池は、蓄電容量が大きい程大きなサイズとなります。

たとえば、2kWhなどではなく10kWhや13kWhなどの蓄電容量を検討している場合は、屋外へ設置する必要があるでしょう。10kWh以上の蓄電池は、高さ1mを超えたり重量100kgを超えたりしています。

また、大きなサイズの蓄電池は、コンクリートによる基礎工事を行い、その上に蓄電池を設置するのが基本です。

まずは自宅の庭やガレージに蓄電池を設置できるか、屋外・屋内どちらに設置するか考えながら蓄電容量を比較検討してみましょう。

停電時の出力や運用方式

災害などによる停電時に、蓄電池をどの程度使用するのか、出力や運用方式も考えましょう。

つまり前段で紹介した「全負荷型蓄電池」・「特定負荷型蓄電池」を比較したり、停電時出力の大きな蓄電池を探したりするのも大切です。

たとえば停電時出力が1,000Wの場合は、家電製品や照明を同時に1,000Wまで使用できることを示しています。
例:停電時出力1,000Wの場合
• 冷蔵庫200W
• 照明100W×3ヶ所
• スマホの充電20W×3台
• パソコン100W
• 電気ケトル300W
• 合計960W、停電時出力1,000Wで同時に使用できる

停電時出力は各メーカーの公式サイトでも確認できるので、設置業者へ相談する前に比較検討してみるのもいいでしょう。

蓄電池の種類は豊富でそれぞれ使用環境や効率が異なる

蓄電池の種類は豊富で、それぞれメリット・デメリットがあります。また、住宅へ設置する家庭用蓄電池は、リチウムイオン型が多い傾向です。

家庭用蓄電池は特定負荷型と全負荷型に分かれていて、停電時の電源供給に関する設定に関して違いがあります。

これから蓄電池を設置する場合は、蓄電方法よりも設置方式や蓄電容量、停電時出力、サイズなどを比較検討してみるのが大切です。

特に蓄電容量は重要ですので、設置業者へ見積もりを依頼する際に蓄電容量について相談してみましょう。

▼蓄電池は種類以外にも、メーカーで大きく違いがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
家庭用蓄電池のメーカーによる違いは?品揃えや特色を詳しく紹介します!

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