蓄電池の耐用年数を正しく理解する 寿命を伸ばす方法も

えらぶ家 2020-6-17

蓄電池を既に設置している方、あるいはこれから設置しようかと検討している方にも関係のある耐用年数の話。蓄電池は、繰り返し使えるとはいっても、永久に充電・放電ができるわけではありません。何度も使用しているうちに少しずつ劣化していき、容量の減少や故障などが発生します。

蓄電池の耐用年数はどれくらいなのか。その目安を考える時、「年」だけではなく、「サイクル数」と呼ばれる単位を用います。

また、蓄電池の耐用年数は使い方によっても変わるため、適切な使い方も覚えておくべきです。

蓄電池の耐用年数に関する考え方

蓄電池の耐用年数について確認する前に、使用期間やサイクル数、法定耐用年数など、専門用語を覚えておきましょう。

蓄電池のサイクル数

おてがるでんち

蓄電池の耐用年数を確認する際に必ず出てくる用語が「サイクル数」です。

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サイクル数とは、蓄電池の「充電」と「放電」の回数を指します。充電1回(0%から100%の充電)と放電1回(100%から0%まで消費)を「1サイクル」と呼びます。

【例】
• 10サイクル:充電10回、放電10回
• 100サイクル:充電100回、放電100回
• 1,000サイクル:充電1,000回、放電1,000回

このように1サイクルとは蓄電池を2回稼働しているのが特徴です。そして、蓄電池のカタログ・スペック表などには、耐用年数の項目にサイクル数を表記しています。

サイクル数は各メーカー・商品によって大きく異なるため、購入の際にチェックしておくべきポイントの1つです。

また、サイクル数の多い蓄電池を購入したとしても、使用頻度が非常に高かったり、使用環境が良くなかった場合、耐用年数は短くなる可能性もあります。

使用期間

使用期間とは、蓄電池を購入・使用開始してから、いつまで使用できるか「年数」で表したものです。サイクル数と違い、充放電の回数で示していないのが特徴です。

また、サイクル数で示さないということは、使用頻度の高い環境で活用されるタイプの蓄電池には合わない表記ともいえます。

使用期間で表す蓄電池は、主にバックアップ用電源など充放電の頻度が低いタイプです。

注意点としては、蓄電池の耐用年数を見るときにサイクル数、使用期間の2通りあると説明しましが、どちら場合も耐用年数の目安としてしか活用できない点です。

実際には以下のような要因が複雑に組み合わさることでその蓄電池の寿命が決まります。

• 使用頻度
• 周辺の温度
• 周辺の湿度
• 塩害
• 雪や雨の影響
• 災害による被害

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蓄電池は繊細な部分もあるため、設置場所や周辺環境にも注意が必要です。

法定耐用年数は寿命のことではない

サイクル数や使用期間に加えて、蓄電池の耐用年数を調べていると、「法定耐用年数」という用語が出てきます。一見するとこの法定耐用年数が蓄電池の耐用年数・寿命なのかと考えてしまいがちです。

しかし、法定耐用年数とは減価償却に関する年数のことで、蓄電池の耐用年数ではありません。

減価償却とは、不動産や機械設備など固定資産の経費を、法律で定められた年数と金額に分けて計上する制度のことです。

つまり1年にまとめて経費として計上するのではなく、毎年少しずつ分割して計上するという内容です。

蓄電池にも減価償却が適用されていて、6年であれば6年目まで毎年少しずつ購入費用の一部を計上します。

参考:蓄電池は経費に計上できるのか?蓄電池の減価償却について解説

このように法定耐用年数は、蓄電池の寿命を示す用語ではありませんので間違えないようにしましょう。

蓄電池の種類から見た耐用年数

続いて、蓄電池の種類や状況から見た、一般的な耐用年数をご紹介します。

各蓄電池の耐用年数(目安)

蓄電池は電解液や使用されている材料によって耐用年数に違いがあります。

【サイクル数と耐用年数の目安】
• 鉛蓄電池:サイクル数約3,100回(耐用年数17年程度)
• リチウムイオン電池:サイクル数約4,000回(耐用年数約10年程度)
• ニッケル水素電池:サイクル数2,000回(耐用年数6年程度)
• NAS電池:サイクル数約約4,500回(耐用年数約15年程度)

注目すべきポイントは、サイクル数と耐用年数が連動していない点です。鉛蓄電池のサイクル数は3,100回で約17年ですが、リチウム電池は4,000回で10年と耐用年数に大きな違いが発生します。

また、実際は充放電の回数や過充電・過放電などの影響を受けて、劣化の始まる年数が変化することがあります。

家庭用蓄電池は一般的に耐用年数10年程度

住宅に設置する家庭用蓄電池は、一般的に耐用年数10年程度と考えられています。これは毎日使用した上での耐用年数です。

家庭用蓄電池は蓄電容量が小さいタイプでも2kWhや4kWhほどあり、ポータブルタイプと比較して大容量といえるスペックです。そのため1回の充電で長時間使用でき、サイクル数を抑えて耐用年数を延ばすことができる特徴も持っています。

また、蓄電池の設置業者は、定期メンテナンスやアフターフォローも提供しているので、常に良い状態で稼働が可能です。

耐用年数を過ぎると蓄電池はどうなるのか

蓄電池は耐用年数を過ぎたからといって、すぐに使えなくなるわけではありません。

イメージとしては、「以前は1回の充電で12時間使用できたのに、6~8時間で充電0%になってしまう」といったように、徐々に蓄電容量や効率が悪化していきます。

どのような電気機器でも徐々に動作が悪くなるのと同様に、蓄電池も少しずつ劣化していくのが特徴です。そして、耐用年数を過ぎると、劣化しやすくなるということです。

劣化を遅らせるために、特に以下のような使い方は避けるべきです。

• 過充電をしない(100%の状態で充電を続けないこと)
• 過放電をしない(0%の状態で放置しないこと)
• 直射日光の当たる場所に設置しない
• 25度以上の暑い場所に設置しない

設置場所については設置業者が当然わきまえていますので、よほど置き場所に困る場合以外は心配ないでしょう。

蓄電池の耐用年数は目安10年と考えてメンテナンスや使い方に気を付ける

蓄電池の耐用年数は、種類や充放電の回数によって変わります。ただ、家庭用蓄電池の場合は目安10年とされているので、10年目を交換時期として考えておくといいでしょう。

蓄電池の耐用年数を少しでも延ばすためには、上でも書きましたが、過充電や過放電をしない、気温の高い場所に設置しないといったことを心がけるべきでしょう。

また、蓄電池の設置業者が提供している定期メンテナンスを受けることで、正常な状態で使用し続けられます。

蓄電池の設置業者と相談しながら、正しい設置場所や使い方を心がけるようにしましょう。

▼蓄電池のメンテナンスに関しては、以下の記事をご覧ください。
蓄電池のメンテナンス方法は?点検が必要となるタイミングやその費用についても解説

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