トライブリッドとは? 大容量のEV・PHV内蔵電池も蓄電池に利用できる!

エココト編集長 2020-6-3
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蓄電池と太陽光発電は併用することが多いことから、蓄電システムの主流が太陽光発電と蓄電池のシステムを一体化したハイブリッド蓄電システムに移りつつあります。
さらに、最近では、EVやPHVの内蔵蓄電池も統合して活用できるトライブリッド方式の蓄電システムも発売されています。
今回の記事では、トライブリッド方式の蓄電システムと、蓄電システムをトライブリッドにする理由について解説していきます。また、トライブリッド蓄電システムの詳細についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

トライブリッドとは

トライブリッドとは、「3つのものを組み合わせたもの」を意味しますが、蓄電池に関連したものにトライブリッド蓄電システムがあります。

トライブリッド蓄電システムとは

「トライブリッド蓄電システム」は、太陽光発電システムと蓄電システム、さらには、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)という3つのエネルギーシステムを融合させたものです。太陽光発電システムと蓄電システムを組み合わせた「ハイブリッド蓄電システム」を発展させたものとして、ニチコンから発売されました。

3つのシステムを融合させる理由

太陽光発電システムや蓄電システムには、パワーコンディショナ(パワコン)と呼ばれる電気の制御・変換機器が付属しています。パワコンは、太陽光パネルや蓄電池の電気が直流であるのに対し、家庭用の電気が交流であることから必要となる機器です。直流と交流を相互に変換することで、発電・蓄電した電気を家庭で使用できるようにし、家庭用の電気を蓄電池に充電できるようにします。

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しかし、直流と交流を変換する際には、どうしても電力ロスが生じてしまいます(5%程度のロス)。ましてや、太陽光パネルで発電した電気を蓄電池に充電する場合、2つのパワコンで電気を変換するため、電力ロスはさらに大きくなります(10%程度のロス)。

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そこで登場したのが、ハイブリッド蓄電システムです。ハイブリッド蓄電システムでは、太陽光発電システムと蓄電システムのパワコンを一体化。太陽光パネルで発電した電気を、直流のまま蓄電池に充電できるようにしました。それにより、直流⇒交流⇒直流の変換による電力ロスがなくなり、電気の効率的な運用が可能となりました。

この電力ロスの議論は、EVやPHVが加わったときの、太陽光発電からEV・PHVへの電気の供給、蓄電池とEV・PHVの間の電気のやり取りにも当てはまります。また、家庭用の電気でEV・PHVを充電する際の交流から直流への変換にも電力ロスが生じることを忘れてはいけません。つまり、トライブリッド蓄電システムは、太陽光パネルと蓄電池の間だけでなく、EV・PHVとの間の電気も効率的にやり取りできるようにしたシステムなのです。

ニチコンのトライブリッド蓄電システム

2020年6月現在、トライブリッド方式の蓄電システムは、2018年に発表されたニチコンのトライブリッド蓄電システムのみとなっています。ここでは、この蓄電システムについてご紹介します。

ニチコンのトライブリッド蓄電システムは、トライブリッドパワコンと蓄電ユニット、V2Hスタンドから構成されます。トライブリッドパワコン以外は、個別に導入することが可能で、必要に応じて後付けすることが可能となっています。

トライブリッドパワコン

トライブリッドパワコンは、太陽光発電と蓄電池、EV・PHVの内蔵電池を統合的に制御可能で、それぞれの電気を直流のまま高効率にやり取りすることができます。

蓄電池用のパワコンとしてはハイエンドな高機能モデルで、蓄電池入力が2回路あり、蓄電容量4kWhの蓄電池を2台接続可能です。停電時は、EV・PHVからの放電も加えると最大3kVAまでの出力が可能で、合計3,000Wまでの電化製品を一度に使用できます。太陽光発電入力としては、1回路当たり2.2kWの回路を3回路搭載。合計6.6kWにも及ぶ太陽光パネルを接続可能です。

ただし、蓄電池とEV・PHVへの同時充電はできません。充電時間は、4kWhの蓄電池ユニットに対しては2時間強、40kWhの蓄電容量を持つEVに対しては約8時間かかり、片方づつ順番に充電する必要があります。

また、希望小売価格が110万円と高価であることもこのパワコンのデメリットです。しかし、15年の無償メーカー保証が付いていますし、高機能の太陽光発電用パワコンと蓄電池の2台接続が可能な蓄電池用パワコン、さらにEV・PHVの大容量内蔵電池のパワコンも兼ねるとすると、4台分の単機能パワコンを併せたものと考えられるので極端に高いとも言えません。

なお、以上で紹介したのは、ニチコンのトライブリッドパワコン「ESS-T1」についてのことです。太陽光発電システムのパワコン機能がない「ESS-T2」については言及していませんのでご注意ください。

V2Hスタンド

ニチコンのトライブリッド蓄電システムでは、専用のV2Hスタンド「ESS-V1」により、EV・PHVの内蔵電池を家庭用蓄電池と同じように利用可能です。対応車種とその蓄電容量は以下の通りで、標準的なバッテリーでも10kWh程度、大容量のバッテリーでは24~62kWhにも及びます。

V2Hスタンド対応車種の蓄電容量
日産リーフ(リーフe+)・・・62/40/30/24kWh
日産e-NV200・・・40/24kWh
三菱i-MiEV・・・16/10.5kWh
三菱MINICAB-MiEV VAN・・・16/10.5kWh
三菱MINICAB-MiEV TRUCK・・・10.5kWh
三菱アウトランダーPHEV・・・12kWh(13~18年式)/13.8kWh(19年式以降)
トヨタプリウスPHV・・・8.8kWh

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家庭用蓄電池の容量が大きくても12kWh程度であることを考えると、少なくとも大容量の蓄電池として、大容量バッテリーのEV・PHVでは数個分の蓄電池として利用することが可能です。一週間にも及ぶ長期間の停電も十分あり得る現在においては、EV・PHVの内蔵電池をも併せた蓄電容量が災害時の安心の材料となるでしょう。

しかし、このV2Hスタンドも希望小売価格が110万円と高価です。しかし、蓄電池と連携していない一般的なV2Hスタンドでも30~200万円と高価ですので、必ずしも高いわけではありません。

なお、ニチコンのトライブリッド蓄電システムは、以上でご紹介した価格に加え、蓄電ユニットの90万円を合計した310万円が希望小売価格となります。

参考:ニチコン株式会社

まとめ

いかがでしたでしょうか。
トライブリッド蓄電システムは、ニチコンのみが提供する新しい製品であるため、まだまだ高額のように思えます。ですが、蓄電システムとV2Hスタンドの双方を導入する場合には、組み合わせにより、それほど大きな価格差がないこともあります。
また、ご紹介した価格は希望小売価格であり、実際の販売価格はすでにある程度安くなっています。ぜひ、いくつかの業者で導入価格を比較していただき、ご検討の材料にしていただければと思います。

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