蓄電池とは何か?仕組みや特徴を分かりやすく解説

エココト編集長 2022-6-14
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近年では、太陽光発電システムと連携できるタイプも開発されてきた蓄電池。発電した電気を日中に蓄え電気消費量の多い時間帯に使用し、電気代削減効果を伸ばすことができます。

しかし、そもそも蓄電池とは、どのような仕組みで駆動している設備なのか、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか分かりにくいところです。

今回は卒FITに向けて自家消費型太陽光発電を検討している方にも向けて、蓄電池の仕組みや機能をはじめ、導入メリット・デメリットについて分かりやすく紹介します。

蓄電池とは

まずは蓄電池とは、どのような機能を持った設備なのか仕組みや特徴を解説します。

電気を蓄えたり任意のタイミングで使用できたりする電池

おてがるでんち

蓄電池とは、何度も充電・使用できる電池(二次電池)のことで、太陽光発電システムとの連携をはじめ、家電製品や電子機器などさまざまな場面で用いられています。

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スマートフォン
ノートパソコン
デジタルカメラ
自動車、ハイブリッド車
再生可能エネルギー装置

ちなみに乾電池など、使い切りタイプの電池を一次電池と呼び、充電・再使用はできません。

家庭用蓄電池とは

蓄電池には、使用場所・規模によって家庭用蓄電池・産業用蓄電池と区分されています。

家庭用蓄電池は、一般住宅向けに設計・開発された蓄電池のことです。1m以内のコンパクトサイズとなっているため、どの一般住宅でも設置しやすいのが特徴です。また、住宅用太陽光発電との連携を前提として、開発された家庭用蓄電池も増えています。

家庭用蓄電池の蓄電容量は、1kWhや5kWh台など各メーカーが多種多様なタイプを用意しているので、住宅用太陽光発電の出力に合わせて設置可能です。

本体価格は蓄電容量・仕様・メーカーによって異なり、50万円~200万円台と幅広いのも特徴です。

産業用蓄電池とは

産業用蓄電池は、一般住宅以外の建物やオフィス・事務所、工場や商用店舗・公共施設などに用いられるタイプ全般を指します。

家庭用蓄電池との主な違いは、蓄電容量です。家庭用蓄電池は大容量タイプでも12kWh前後ですが、産業用蓄電池は小さくても10数kWhから販売されています。また、大規模な施設や工場に設置される蓄電池は、1台あたり500kWhの蓄電容量も珍しくありません。

さらに設備規模によっては、産業用蓄電池1台では蓄電容量が足りないケースもあり、複数の蓄電ユニットをまとめて運用することもあります。

近年ではBCP(事業継続計画)の一環として、産業用蓄電池を導入する企業もあり、単に節電としての役割ではなく、企業防災の1つとして考えられているのが特徴的です。

個人が導入するケースとしては、出力10kW以上の産業用太陽光発電の導入時でしょう。

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蓄電池の種類と特徴

続いては蓄電池の種類と特徴を簡単に紹介します。太陽光発電に使用されている蓄電池についても、ここで整理しておきましょう。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、リチウムを活用した蓄電池でスマートフォンなどモバイル機器など、多種多様なバッテリーに活用されています。また、太陽光発電システム向けの蓄電池にも活用されているのが特徴的です。

1kWあたりの本体価格は20万円前後と、他の蓄電池よりも少し高めです。しかし、寿命が6年から15年程度と長いので、初期費用を回収しやすいメリットもあります。

ニッケル水素電池

近年ではどのモバイル機器にもリチウムイオン電池を活用していますが、以前はニッケル水素電池が主流でした。

なぜならニッケル水素電池は、急速充電に対応できるだけでなく、過充電・放電などにも強い特徴があったためです。また、1kW10万円と、一般向けの電子機器に導入しやすいコストです。

しかし、寿命が6年前後と短く、自己放電(自然に充電量が減る現象)しやすいといったデメリットもあります。

現在はハイブリッド車のバッテリーなどに活用されていて、活用先が変わっています。

NAS電池

NAS電池は、大手がいし(碍子)製造企業の日本ガイシのみで製造されている、メガワットクラスの大型蓄電池です。

いわゆる産業用蓄電池の1つですが、極めて蓄電容量が大きく高エネルギー密度・長寿命といった優れた特徴を持っています。つまり、自己放電なしで管理でき、充放電時のエネルギーロスも少ないということです。

ただし、300度程度の温度環境でなければ蓄電池として使用できないため、大型のヒーターを必要とします。

メガワットクラスの蓄電池は世界初で、再生可能エネルギー設備などでの電力安定供給といった点でも期待されるでしょう。

レドックスフロー電池

レドックスフロー電池は、1970年代にNASAが原理を発表し、多くの企業で開発・一部で実用化されています。イオンの酸化還元反応を活用している蓄電池で、20年の長寿命も強みです。

また、充放電のサイクルに限界はありませんし、発火性のある材料を使用していないので常温環境にて使用できます。

ただし小型化が難しいため、主に産業用蓄電池としての活用が想定されます。

鉛蓄電池

鉛蓄電池は1859年に発明された、歴史の長い蓄電池です。充放電の効率は他の蓄電池より低いものの、1kW5万円程度の低コストで寿命も長いといった強みもあります。

現在は主に自動車のバッテリーとして使用されています。

蓄電池導入のメリット

ここからは蓄電池導入のメリットを紹介します。

電気代を抑えられる

蓄電池設置の主なメリットは、電気代を抑えられる点です。電力会社から供給される電気を蓄え、電気使用量の多い時間帯に放電することで電気代を抑えられます。

また、電気代削減効果は、家庭用・産業用どちらのケースでも得られます。特にオール電化プランとの相性が良いといえるでしょう。

オール電化プランとは、オール電化住宅で契約する電気料金プランで、時間帯ごとに電気料金単価が変わります。また、電気料金単価の最も高い時間帯は日中ですので、日中に電気を蓄え夕方や夜間に使用と電気代を削減できます。

太陽光発電との連携ができる

最近では、太陽光発電システムと連携できる蓄電池が開発・販売されているので、発電した電気を蓄えられます。

太陽光発電システム単体では、太陽光を電気へ変換・交流電気へ変換・電気機器へ供給といった機能のみです。また、未使用の電気は蓄電できないため売電されますが、発電できない夜間は買電しなくてはいけません。

蓄電池を導入すると夜間の買電量を抑えられるので、節電効果を伸ばせますよ。

非常時に活用できる

蓄電池は、災害などによる停電時にも活用できます。蓄電容量分しか使用できませんが、10kWhの場合24時間前後は冷蔵庫・モバイル機器(合計電力10kWの家電と想定)へ電気を供給可能です。

大規模地震や台風などによって、1週間以上の停電が想定されます。また、自治体や企業による復旧作業にも時間がかかるので、個人でできるエネルギー対策にも力を入れましょう。

ピークカットによる電気代削減効果

企業が蓄電池を導入する場合は、ピークカットを期待できます。工場や商用店舗・オフィスなど、一般住宅よりも電力消費量の多い設備については、特殊な電気料金プランが適用されます。

そして電気料金単価の計算は、過去1年間の最も電気使用量の多い時間帯が適用されます。そのため過去1年のうち、30分や1時間でも極端に電気使用量が高い時間帯があると、平均では電気使用量の低いオフィスでも高い電気料金で計算されてしまいます。

蓄電池を活用できれば、一時的に電気使用量が上がったとしても、ピークカット(電気使用量を抑える)可能です。

蓄電池導入のデメリット

蓄電池のデメリットを把握した上で、使用することが大切です。

初期費用が高い

蓄電池は蓄電容量5kWhなど、家庭用蓄電池でも100万円~200万円程度の設置費用は必要なため、2022年時点でも初期費用は高めといえるでしょう。もちろん、普及と共に年々設置費用は下がっています。

しかし、蓄電池単体の購入で、初期費用を短期で回収することは難しいでしょう。

蓄電池は寒冷地での設置は向いていないため対策が必要

家庭用蓄電池のサイズは、本体のみで縦・横・奥行それぞれ1m未満です。ですので、冷蔵庫よりも小さく、コンパクトですし設置スペースに困ることは少ないでしょう。

ただし、気温-10~20度の場所に設置してしまうと、蓄電性能が低下するため寒冷地での屋外設置は向いていません。

あらかじめ冬場の平均気温を確認し、屋内設置にするべきか決めておきましょう。また、屋内設置の場合は、重量物に耐えられる床や動作音が気にならないスペースに設置する必要もあります。(家庭用蓄電池:重量70㎏以上)

寿命がある

当たり前ですが蓄電池も経年劣化するので、20年程度で交換する必要があります。(15年程度で、蓄電容量が70%まで低下する傾向)

そのため継続的に使用するためには、都度設置費用を負担しなければいけません。蓄電池を導入する際は、複数回設置費用がかかる点も理解しておきましょう。

蓄電池とは充放電ができる電池で住宅や工場など大容量タイプも登場している

蓄電池とは、充電・放電を繰り返すことができる電池で、最近ではモバイル機器だけでなく住宅やオフィスなどに設置する大容量タイプも登場しています。

また、太陽光発電と連携できるよう設計された蓄電池もあり、より効率的に電気を使用・節電できるようになりました。

節電効果を高めたい方や、非常時の電源確保を考えている方は蓄電池の購入を検討してみてはいかがでしょうか。

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エココト編集長

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