蓄電池の寿命ってどれくらい?長持ちさせるポイントも紹介します

えらぶ家 2020-4-27
家庭用蓄電池の寿命について解説した記事中のイメージ画像です。

今や蓄電池は、パソコンやスマホなどさまざまな機器に使用されるほど、身近なものとなりつつあります。また近年では住宅に設置する家庭用蓄電池も販売され、節電や非常用電源として活用されています。

しかし、これだけ身近な存在ですが、多くの方は蓄電池に寿命があることを知らないのではないでしょうか。蓄電池は何度も充放電可能ですが、少しずつ劣化が進行し、やがて使用できない状態になってしまいます。

今回は、蓄電池の設置を検討している方へ向けて、蓄電池の寿命について分かりやすく解説します。また、蓄電池の選び方や長持ちさせる使用方法を紹介しますので、寿命以外の項目もぜひ確認してみてください。

蓄電池の寿命とは

まずは、蓄電池の寿命とはどの程度なのか、法定耐用年数とは何かを解説します。蓄電池は、皆さんご存知の乾電池などと違って長期間使用することができますが、半永久的に充放電できるわけではありません。

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また、メンテナンスフリーでもありませんので、長期間使用すると次第に劣化し、いずれ故障したり容量が減少したりする点を理解しておきましょう。

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蓄電池の寿命は状況によって変わる

住宅に設置する家庭用蓄電池を含め、蓄電池の寿命は種類や使用環境によって変わります。蓄電池には鉛蓄電池やリチウムイオン電池などがあり、それぞれ構造が異なります。

また、蓄電池を屋内と屋外、どちらに設置しているかによっても、気温や風などの影響があり寿命が変化します。

ただ、一般的に蓄電池の寿命は10年間とされているので、目安10年前後と考えておきましょう。

蓄電池メーカーなどでは、期待寿命(製品の平均的な寿命)、そしてサイクル回数で計算上の寿命を示しているのも特徴です。

これからカタログを確認する場合は、年数だけでなく次に紹介するサイクル回数についても理解しておくことをおすすめします。

蓄電池のサイクル回数

各メーカーが開発・販売している蓄電池には、スペック表に5,000サイクルや4,000サイクルといった数値を記載しています。

蓄電池のスペックに記載されているサイクルとは、充電と放電の回数のことです。具体的には、充電率0%から100%まで充電し、0%まで放電(使用)した一連の工程を1サイクルと呼びます。

蓄電池のサイクル回数が多いタイプであるほど、長期間使用できますし充放電を繰り返せるのが特徴です。

使用期間

蓄電池メーカーの中には、サイクル回数や何年まで使用可能といった表記ではなく、使用期間と呼ばれる単語で寿命を示していることがあります。

使用期間とは、蓄電池を使用開始した時点から、何年まで充放電機能を維持できるかを年数で示したものです。

たとえば使用期間10年の場合は、10年間は仕様通り問題無く使用できるものの、11年目以降故障リスクなど、問題が増えるというイメージです。

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ただし、使用期間はあくまで目安ですので、日々稼働状況を確認するなど、使用者がしっかり管理する必要もあります。

法定耐用年数は税法上の数値

蓄電池に関する記事の中には、法定耐用年数で示しているケースもありますが、寿命と法定耐用年数に直接的な関係性はありません。

法定耐用年数とは、国税庁が定めた減価償却に関連する用語のことです。そして蓄電池の場合は、6年と定めています。

減価償却は、事業のために購入した機器や建物などを、1年で経費として計上するのではなく、購入金額を数年に分けて少しずつ計上する制度です。

つまり蓄電池の法定耐用年数6年は、6年間に分けて購入費用を経費として計上できます。

あくまで税法上の数値ですので、実際の寿命とは異なる点を覚えておきましょう。

各蓄電池の一般的な寿命

続いて、蓄電池の一般的な寿命を種類ごとに紹介します。蓄電池の一般的な寿命は、種類によっても変わりますが、住宅に設置するタイプの多くはリチウムイオン電池となっています。

ですので、特にリチウムイオン電池の特性や、寿命を覚えておくと導入の際に役立つでしょう。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、住宅に設置するタイプの蓄電池(家庭用蓄電池)にも採用されていて、広く普及しています。

そしてリチウムイオン電池の寿命は、一般的に6~10年と考えられています。サイクル換算では、約3,500~4,000サイクルまで仕様通りの蓄電容量を維持できるイメージです。

また、寿命を超えると突然故障する訳ではありませんが、100%まで充電できなかったり電力の減少が速かったりといった現象が発生します。

一般的には、寿命を超えて使用する場合、蓄電容量が80%から70%に減少し、その後も減少が続きます。

ちなんみにリチウムイオン電池は、他の蓄電池と比較して中間の寿命といえるでしょう。また、使用環境によっては、劣化しやすい性質もあるため設置環境の確認と、早めの交換や点検を考えておくのも大切です。

鉛蓄電池

蓄電池の中で150年の歴史がある鉛蓄電池は、特に寿命が長いという特徴を持っています。一般的な鉛蓄電池の寿命は17年と、リチウムイオン電池の1.5~2倍程度です。

サイクル回数は約3,000回と少ないものの、充放電を繰り返すことによる劣化の可能が低いという特性があります。ですので、使いやすく長持ちといったメリットのある蓄電池です。

ただし、充電率0%で各種機器に接続した状態にしておくと、劣化しやすいデメリットもあるため、こまめな充電が必要です。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池は、一般的な寿命5年~7年と蓄電池の中でも特に寿命が短いという特徴を持っています。また、寿命が短いので、サイクル回数2,000回と少ない傾向です。

ニッケル水素電池は、経年劣化だけでなく使用環境によっても劣化しやすいため、寿命の短い傾向となっています。特に温度が高い状態での使用は劣化を加速させてしまう要因の1つとなるため注意が必要です。

一方蓄電池としての利用メリットは、リチウムイオン電池などと比較して過放電や過充電に強い点となっています。しばらく使わないとか充電しっぱなしとか、マメではない扱いにも強いという特性を持っています。

ニッケル水素電池は、住宅に設置するタイプの蓄電池には、基本的に用いられていません。現在は鉄道やハイブリッドカーなど、特定環境下での利用に限定されています。

NAS電池

NAS電池の一般的な寿命は、15年と比較的長めといえるでしょう。また、サイクル回数は、3,000~4,000回程とされています。

NAS電池とは、日本ガイシ株式会社と東京電力が開発したもので、大規模施設向けの蓄電池です。具体的には、Mwクラスの発電所や工場などに設置します。

主なメリットは大容量という点や寿命が長いこと、そして劣化しにくいといった点です。一方デメリットは、蓄電池を稼働させるために、300度の温度環境を保つ必要があるなど、運用の難しさにあるといえるでしょう。

ちなみに2020年現在、住宅に設置するタイプの蓄電池ではありません。一般的に家庭用蓄電池ではリチウムイオン電池を使用する、そう考えておけば間違いありません。

蓄電池を長持ちさせるには

ここからは、蓄電池をいかに長持ちさせる、そのポイントを紹介します。

施工品質の高い蓄電池設置業者へ依頼する

住宅へ蓄電池を設置する場合は、施工実績の豊富な蓄電池設置業者へ依頼することも、蓄電池を長持ちさせるポイントとなります。

蓄電池の設置業者は、単に蓄電池の納入から設置を行うだけでなく、温度環境などを考慮した設置スペースの確保や配線工事、固定、そして設置後のアフターフォローといった役割があります。

そして設置工事には専門的な技術や施工ID(メーカーが発行している取り扱いに関する許可)が必要です。

アフターフォローサービスが不十分な業者や、施工実績の少ない業者は避けるべきでしょう。

高温になりやすい場所へ設置しない

どの蓄電池も基本的に高温との相性が悪いという性質を持っています。つまり、直射日光が当たる場所や風通しが悪く夏場の気温が上がりやすい環境は、蓄電池の劣化を早めてしまいます。(サイクル数を早める)

たとえば蓄電池の設置業者が現地調査を行った際に、適切な設置スペースについて相談してみるのもおすすめです。また、北側に設置スペースを確保したり、室内型の蓄電池を選んだりといった工夫も考えてみると良いでしょう。

適度な充電と使用をこころがける

蓄電池は、種類によって過放電や過充電への耐久性に違いはあります。とはいえ、いずれにしろ蓄電池にダメージを与えてしまうものですので、0%のまま放置したり100%の状態でさらに充電したりしないよう、適度に充電と使用をこころがけることも大切です。

また、過充電は状況によって高温・発火の危険性も考えられるので、特に気を付けましょう。

ただしこまめに充電と放電を繰り返し過ぎると、蓄電容量が減少する可能性もあります。ですので、30%や40%程度まで使用し、その後充電するなど放電率を意識することが大切です。

住宅に設置するタイプの蓄電池には、モニタで使用状況を確認できる商品も多いので、使用状況や異常を監視システムで早期に感知できます。

蓄電池が寿命を迎えた場合

蓄電池が10年や15年などの使用状況で、電池がすぐに減少するなどの劣化症状が著しい場合は、交換を考える時期かもしれません。

蓄電池の場合、寿命に達してもすぐ故障する訳ではありません。しかし、蓄電容量は最初から少しずつが減少していきます。蓄電容量が減少するということは、充電率が下がるためサイクル回数も増加し、より劣化を早めるということです。

蓄電池の交換時期が近付いたらメーカーへ問い合わせたり、設置業者へ相談してみましょう。また、メーカーによっては、保証期間中の故障であれば無償修理対応してくれるサービスも用意しています。

蓄電池を運用する場合は、早めの保守点検と修理、そして寿命がくる前に交換を行うことが大切です。無理に15年や20年以上使用していても、充放電の効率が悪くなりますし、大きな故障の原因ともなるため注意が必要です。

蓄電池の寿命は使用環境や種類によって変わり定期的な保守点検が欠かせない

蓄電池の寿命は、種類や使用環境によって変わります。ただ、住宅に多く設置されているリチウムイオン電池の場合、約10年で蓄電容量の減少など劣化が進みます。

ですので、これから蓄電池を導入する方は、10年前後での交換を視野に入れて予算の確保や運用方法の検討、蓄電池の選定を行いましょう。

また、蓄電池設置業者の選定は、間接的に蓄電池の寿命を左右します。なぜなら、蓄電池の設置箇所を間違えると高温状況での使用環境となり、劣化を早めるためです。他にも適切な設置方法(コンクリート基礎や固定、配線など)や設置後のアフターフォローなど、さまざまな点で設置業者の技術力が問われます。

蓄電池の購入・設置業者を探す時は、一括見積もりサービスの利用がおすすめです。蓄電池の一括見積もりは、無料で複数社の見積もりを代行してくれます。

蓄電池は節電や災害時に活用できるので、長持ちさせるためにも1つ1つ丁寧に準備しましょう。

▼蓄電池のメンテナンスに関しては以下の記事にまとめてあります。合わせてチェックしてみてください。
蓄電池のメンテナンス方法は?点検が必要となるタイミングやその費用についても解説

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