蓄電池の仕組みを知ろう!どうやって電気を蓄める?太陽光発電や送電線とのつながりも理解
FITの買取期間終了や売電価格の低下から、太陽光発電と蓄電池を併用した自産自消システムの構築が進んでいます。この記事では、蓄電池について、また蓄電池と太陽光発電や送電線との電気の流れについて理解したいという方に、これらの仕組みをわかりやすく解説していきます。
蓄電システムの仕組み
家庭に蓄電池を導入する蓄電システムは、蓄電池とコンバータ、パワーコンディショナー(パワコン)から構成されます。それらは蓄電池−コンバータ−パワコンの順番に接続され、蓄電システムはパワコンを通して太陽光発電システムや電力事業者の送電線網とつながっています。
蓄電池の仕組み
家庭用蓄電池には通常、リチウムイオン電池が用いられていますが、自動車のバッテリーである鉛蓄電池を用いることもあります。これらの蓄電池は共通して、正極と負極、電解質から構成されており、電解質に含まれる電荷を持った物質が正極と負極の間を移動することで充放電を行います。
リチウムイオン電池の仕組み
例えば、リチウムイオン電池では、充電すると、プラス電荷を持ったリチウムイオンが正極から負極へ移動すると同時に、電子が外部の回路を通って正極から負極に流れます。このとき、負極にたどり着いたリチウムイオンと電子、そして負極の物質が結びつき化合物となります。一方、放電時には、この化合物が分解し、充電時とは逆の反応が起こります。このように、蓄電池は、電気を加えたときは化合物を生成し、電気を加えないときは元の状態に戻ろうとする化学反応を利用して充放電しているのです。
コンバータで電圧を調整
ですが、蓄電池に充電するときや放電するときの電圧、つまり電気の流れの強さは、必ずしも太陽光発電や家庭の電圧と同じで良いというわけではありません。そこで必要となるのがコンバータです。コンバータは、蓄電池とパワコンの間に接続され、蓄電池と家庭の電圧を調整する変圧器の役割を果たします。なお、製品によっては、蓄電池にコンバータが内蔵されていたり、パワコンがコンバータを兼用していることがあります。
パワコンで電気の流れ方を調整
また、蓄電池は電気を直流で蓄えて放電しますが、家庭用の電気は交流です。そのため、蓄電池を家庭用電源で充電する、または家庭用の電気として使用する場合には、直流と交流の変換が必要となります。その機能を担うのがパワコンです。
蓄電システムと太陽光発電システムのつながり
蓄電システムと太陽光発電システムは、蓄電池のパワコンを通して電気のやり取りをします。ですが、太陽光発電は蓄電池と同じく直流であることから、太陽光発電もまたパワコンを必要とします。そのため、蓄電池用パワコンと太陽光パネルとの接続は、太陽光発電用パワコンをはさむ場合があります。
蓄電池と太陽光発電のパワコンが別の場合
この場合、蓄電池と太陽光パネルとの接続は通常、蓄電池用パワコン−太陽光発電用パワコン−太陽光パネルとなります。そのため、太陽光パネルで発電した電気を蓄電池で充電する際には、直流⇒交流⇒直流と2回の変換が必要です。この変換は電力ロスを生じるため、近年では太陽光による電気を直流のまま充電可能な蓄電・発電両用のハイブリッドパワコンが製品化されています。
ハイブリッドパワコンの場合
パワコンが蓄電・発電両用の場合、太陽光パネルで発電した電気は、直流のまま蓄電池で充電することができます。また、製品によっては、太陽光による発電、蓄電池の充放電、分電盤を通した買電・売電などのコントロール機能をハイブリッドパワコンが持つものもあります。
発電・蓄電システムと送電線網とのつながり
発電・蓄電システムと送電線網との電気のやり取りは、パワコンを通して行われます。流れとしては通常、パワコン−分電盤−電力量計−送電線となっており、分電盤は家庭用のコンセントとつながっています。ここで、分電盤は、電気を分配するだけ(ブレーカー機能もありますが)、電力量計は流れた電気量を計るだけです。そのため、太陽光発電で発電した電気を売る際は、パワコンで電圧を調整して送電線へと送られます。これは、電気が電圧の高い方から低い方へ流れる性質があるためです。このときパワコンでは、送電線より高く、かつ法で定められた95〜107Vの電圧に調整して送電線へ電気を送ります。