zeh(ゼッチ)とは?zeh住宅の意味や仕組みを分かりやすく解説

えらぶ家 2022-6-15
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省エネや節電に向けて太陽光発電などの導入を考えている方の中には、zeh(ゼッチ)という言葉を見聞きしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、普段のニュースで取り上げられることは少ないため、いまいち分かりにくいかと思います。

zeh(ゼッチ)とは、年間のエネルギー収支0を目指した住宅および、住宅設備や考え方のことです。また、太陽光発電システムやHEMS、蓄電池などさまざまな機器を使用しているのが特徴です。

今回は、省エネや自家消費型太陽光発電に関心がある方へ向けて、zeh(ゼッチ)の定義や仕組みについて解説します。

zeh(ゼッチ)とは

まずは、zeh(ゼッチ)とは何か、定義や特徴を分かりやすく解説します。zeh(ゼッチ)のポイントは、以下3点です。
・断熱
・エネルギーを創る
・エネルギーを消費

消費エネルギー0を目指す住宅のこと

おてがるでんち

zeh(ゼッチ)とは、エネルギーの収支0・消費エネルギーよりも創エネルギーの多い住宅のことです。また、正式名称はNet Zero Energy Houseで、頭文字を足したものがzeh(ゼッチ)です。

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省エネ住宅と似ていますが、エネルギーの収支0を目指すという点が異なります。そしてエネルギーは、自然由来一次エネルギーを基準としています。

3種類の仕様が必要

zeh(ゼッチ)は、一次消費エネルギーの収支0を目指しています。そして、エネルギー収支0は、住宅の断熱性能を上げたり効率の良い機器を導入したりなど、さまざまな観点から目指すのが特徴です。

具体的には3種類の仕様を含めた住宅を、zeh(ゼッチ)として認定しています。
断熱::断熱材の性能を上げる、窓の性能を高めることで冷暖房機器の使用率を下げる
創エネ:再生可能エネルギーシステムで発電、買電量を抑える
省エネ:各省エネ機器や創エネ設備をまとめながら、消費エネルギー削減を目指す

省エネ住宅は、冷暖房や空調・照明などの消費量を削減するのみです。一方、zeh(ゼッチ)は、省エネだけでなく、エネルギーを創ったり断熱性能を上げたりなど、省エネ以外の要素も取り入れています。

また、zeh(ゼッチ)を建てるためには、zeh(ゼッチ)ビルダーやプランナーによる設計・建築が必要です。

h2 zeh(ゼッチ)の目標とは
続いては、国が掲げているzeh(ゼッチ)の目標や、導入理由などについて解説します。

エネルギーの需給構造を改善するための措置

日本は、2011年に発生した東日本大震災をはじめ、台風や豪雨などによる被害を何度も受けています。そして、国際的な石油価格の不安定化なども相まって、化石燃料を原料とする火力発電の需給構造に課題が発生します。

また、政府では、各住宅で省エネを実施する必要があると考え、zeh(ゼッチ)の普及を掲げ、ロードマップも策定しました。

つまりzeh(ゼッチ)とは、日本のエネルギー需給に関する大きな問題を解決するための対策ということです。

zeh(ゼッチ)の目標は2030年を1つの区切りとしている

zeh(ゼッチ)は、新しい概念の住宅ということもあり、単に政府が発表するだけでは普及しません。そこで経済産業省が主体となって、zeh(ゼッチ)普及へ向けたロードマップ・対策を策定しました。

分かりやすく説明すると、2030年までに新築住宅はzeh(ゼッチ)仕様となるよう、事業者・購入者へ導入を促すための対策を施しています。

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たとえばzeh(ゼッチ)ビルダーと呼ばれる事業者の設定にも注目です。zeh(ゼッチ)ビルダーとは、政府が掲げるzeh(ゼッチ)普及に沿ってzeh(ゼッチ)仕様の住宅建築や販売を行う事業者のことです。

これからzeh(ゼッチ)を建てる場合は、各種設備機器やノウハウを持っているzeh(ゼッチ)ビルダーへ依頼しましょう。

zeh(ゼッチ)の導入メリット

ここからは、zeh(ゼッチ)の主な導入メリットを紹介します。

光熱費の負担を抑えることが可能

zeh(ゼッチ)は、省エネ住宅よりも一次消費エネルギーを抑えられる設備機器・住宅仕様です。また、元々の考え方が一次エネルギーの収支0、つまり光熱費0円を目指しています。

そのため光熱費削減を目指している方、節約を意識した生活をしている方には適した住宅といえるでしょう。

一般住宅の場合、冬場に暖房をなるべく使用しない・夏場の冷房機器の使用時間を減らすなど、無理な節電も状況によっては必要になってしまいます。しかしzeh(ゼッチ)では、暖房機器を使用しなくても、冬場を快適に過ごせる断熱性能等を導入することにより、無理をせず光熱費削減を目指せるのが特徴です。

災害時にエネルギーを生産できる

zeh(ゼッチ)は、省エネ設備だけでなく創エネ設備も導入しています。具体的には太陽光発電や蓄電池などです。

太陽光発電は、太陽光があればいつでも発電できるので、災害時に役立ちます。また、蓄電池も併用すると日中に電気を蓄え、夜間や曇りの日にも自家発電の電気を使用できます。

▼太陽光発電と蓄電池の詳しい関係については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
停電時も太陽光発電は使える!蓄電池との有効な併用法も解説

小規模災害であれば、電力会社や自衛隊などによる復旧作業も比較的スムーズに進みますが、大型台風の直撃や地震、豪雨災害などによって発電所や変電所・電線など複数の設備が破損することもあります。このような大規模な災害時には、政府や自衛隊・電力会社などが復旧へ向けて全力を挙げたとしても、1週間以上停電する可能性もあるでしょう。

zeh(ゼッチ)は、こうした大規模災害・長期停電時にもエネルギーを使用できる頼りになる住宅と言えます。

zeh(ゼッチ)は資産価値を高める要因の1つ

zeh(ゼッチ)は、不動産の資産価値を高める要因としてもメリットのある選択肢です。なぜなら2016年に国がエネルギー性能を基準とした住宅評価制度を定めたからです。

住宅評価制度はBELSと呼び、星1~5つで評価しています。また、高い評価を得るほど住宅を売却する際、プラス査定されやすくなるので高く売れる可能性があります。

zeh(ゼッチ)の導入デメリット

ここからはzeh(ゼッチ)を導入することで、考えられるデメリットを紹介します。

zeh(ゼッチ)の導入コストは高い傾向

zeh(ゼッチ)は、快適な生活をしながら一般住宅よりも省エネを実行できる優れた機能を持っています。それだけ導入コストは高くなる傾向にあります。

仮に既築住宅(約30坪と仮定)をzeh(ゼッチ)にする場合、ヒートポンプ設備機器や冷暖房機器の導入などで300万円程度はかかります。また、リフォームが必要であればさらに費用が発生します。

優れた断熱性能・省エネ・電気代削減効果を得られるzeh(ゼッチ)ですが、初期費用の負担やローンの検討など、考えなければいけない要素もあるので注意が必要です。

太陽光発電の売電価格が下がっている

エネルギー収支0を目指すためには、エネルギーを創る太陽光発電が必要です。しかし、太陽光発電の固定買取価格は年々下がっています。

つまりFIT制度の申請年が2022年・2023年と遅くなるほど、低い固定買取価格で運用しなければなりません。

zeh(ゼッチ)を導入する場合は、太陽光発電を取り巻く環境・制度についても調べた上で判断するのが大切です。

zeh(ゼッチ)の補助金制度とは

zeh(ゼッチ)には、補助金制度があります。また、単に省エネ住宅だけでは、zeh(ゼッチ)認定されません。

補助金制度を利用するためには、まず以下4種類のzeh(ゼッチ)のうち、1つに該当する必要があります。
①zeh(ゼッチ):一次エネルギー消費量が省エネ基準から20%以上削減、ロードマップに沿った仕様
②zeh(ゼッチ)+:一次エネルギー消費量が省エネ基準から25%以上削減、その他断熱性能強化などの設備導入も必要
③次世代zeh(ゼッチ): zeh(ゼッチ)+に加えて蓄電システムなど、さらに設備強化が必要
④次世代HEMS:zeh(ゼッチ)+に加えて蓄電システムまたはV2H充電設備を導入

そして補助金額については毎年度変わります。2022年度の場合は、55万円~112万円、追加補助額2万円や20万円が用意されています。

詳細な条件は、一般社団法人環境共創イニシアチブのzeh(ゼッチ)支援事業で、確認してみましょう。
https://sii.or.jp/

zeh(ゼッチ)とは一次消費エネルギー0を目指す住宅のこと

zeh(ゼッチ)とは、住宅内で使用するエネルギー収支0を目指す住宅のことです。具体的には、光熱費0もしくは黒字化を目指せる住宅で、zeh(ゼッチ)ビルダーによる設計・設備機器導入が必要です。

また、国が定めた要件を満たさなければ、zeh(ゼッチ)として認定されません。zeh(ゼッチ)と認定されない場合、補助金制度を受けられなかったり売却時の査定に活用できなかったりします。

zeh(ゼッチ)の導入メリットは光熱費0円を目指せるだけでなく、太陽光発電や蓄電池を活用した売電収益などで黒字化も目指せる点です。これから太陽光発電や蓄電池を導入する方は、この機会にzeh(ゼッチ)も検討してみてください。

▼「まずは、蓄電池に関してより理解を深めたい」という方はこちらの記事からご覧ください。
蓄電池の仕組みを知ろう!どうやって電気を蓄める?太陽光発電や送電線とのつながりも理解

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