改正FITとはどのような意味?改正の背景や変更点を解説

えらぶ家 2020-4-16
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再生可能エネルギーに関する細かい取り決めが定められているFIT法。2017年にFIT法が改正され、現在はいわゆる改正FITに従って再生可能エネルギー設備や蓄電池増設に関する手続きを進めなければいけません。

しかし、改正FITの内容は多岐にわたっているため、分かりにくさを感じるのではないでしょうか。

改正FITのポイントは、再生可能エネルギーに関する事業計画・買取価格の見直し・各種届出の変更などです。

今回は、太陽光発電など再生可能エネルギー設備の設置や蓄電池の増設・設置を検討している方へ向けて、改正FITの概要や変更の背景、特に押さえておくべきポイントを分かりやすく解説します。また、改正FITの見直しに関する、2020年4月時点の状況も紹介します。

FIT法とは

おてがるでんち

まずは、改正FITの前に、旧FITの概要や仕組みを解説します。改正FITを理解するためには、旧FITから知る必要があるので確認してみてください。

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2012年に制定された制度

旧FIT(FIT法: Feed-in-tariffの略称)とは、2012年に制定された制度です。日本語では固定買取価格制度と呼び、再生可能エネルギーの売買や契約に関してさまざまな内容が定められています。

たとえば再生可能エネルギーを個人や法人が発電した電気は、電力会社が一定期間買い取ることを義務付けています。

また、電力会社が電気を買取した際に発生する費用の一部を、国民の電気料金に上乗せされているのも大きな特徴です。

制度立ち上げの背景

そもそも旧FITが制定された背景には、環境問題が関わっています。世界では、化石燃料などによる発電に伴う環境負荷を軽減するために、太陽光や風力などの活用を始めました。そしてヨーロッパなどでは、1990年代からFIT法を制定し再生可能エネルギーの普及促進へと動きます。

このような世界的な取り組みを参考に、日本でも旧FITを制定します。

ちなみに日本の場合は環境問題に加えて、エネルギー自給率の問題も解決するために、再生可能エネルギーの導入・活用を進めている背景もあります。

旧 FITの仕組み

FIT法の目的は再生可能エネルギーの普及促進です。ですので、個人や法人が再生可能エネルギーで発電・売電しやすくするために、電力会社へ一定期間の買取を義務付けています。

電力会社の買取期間は、再生可能エネルギーの種類によっても変わりますが10年間もしくは20年間です。また、電力会社による買取期間中は、固定価格(固定買取価格)となるため安定して売電できるのも魅力です。

買取価格の単価は、毎年政府が改定しています。つまり、再生可能エネルギー設備の導入年によって、その後の売電収入および買取価格は変わります。

そして、固定買取価格・固定買取期間に関する基本的な仕組みは、改正FITも共通しているので覚えておきましょう。

固定買取による負担を国民が一部負担

再生可能エネルギーによって発電された電気の買取価格は、化石燃料で発電を行う火力発電と比較して高めに設定されています。

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そして電力会社の買取負担が大きいため、賦課金という形で国民の電気料金に一部上乗せしています。

電気料金の明細書には、「再生可能エネルギー賦課金」と呼ばれる項目に料金が表示されているので気になる方は確認してみましょう。

再生可能エネルギーの種類

旧FITおよび改正FITで再生可能エネルギーの種類も共通しています。
• 太陽光発電
• 風力発電
• 水力発電
• 地熱発電
• バイオマス発電

蓄電池を導入する場合は、太陽光発電と組み合わせるケースが一般的です。

改正FITとは

続いては改正FITの概要や改正の背景、変更点などを分かりやすく解説します。

2017年に改正された制度

旧FITは2017年4月に改正されて、いわゆる改正FIT(再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律)となりました。

改正FITでは、再生可能エネルギー設備を導入する個人や法人にとって、変更点が多数あるため申請前に確認しなければなりません。また、買取価格に関するルールも変わりました。

FITが改正された理由

FIT法の改正は、再生可能エネルギー設備の普及が急速に進んだこと、設備設置後に未稼働状態のケースが増えたことによって行われました。

旧FITの制定理由は、環境問題およびエネルギー自給率を改善するための再生可能エネルギーの普及促進です。

しかし、5種類の再生可能エネルギーがバランスよく普及せず、太陽光発電設備の設置率が急増してしまいました。太陽光発電設備は、導入しやすいものの日中しか発電できない性質もあり不安定な電力供給設備です。

さらに太陽光発電の急速な普及と売電量の増加によって、電力会社の買取費用も増大し、国民の賦課金負担も増加傾向です。

一方で太陽光発電設備の未稼働状態(認定手続きのみを行い設備の設置は行わない)も発生しています。

【未稼働状態の課題】
• 未稼働状態が増える
• 太陽光パネルの価格は年々下がる
• 設置者は高い買取価格で低コストの設備導入が可能になる
• 電力会社や国民の買取コストは高い状態が続く
• 設置者のみが高い利益を得られる不当な状況

このような諸問題を解決するために、FIT法を改正しました。

改正FITのポイント

続いては、改正FITで、特に押さえておきたい内容を分かりやすく紹介します。

FIT制度を利用した設備稼働に関する審査内容の追加

改正FITでは、設備認定に関する審査基準が、設備から事業計画へ変わりました。

• 旧FIT:審査基準は、再生可能エネルギー設備の内容を重要視していた
• 改正FIT:適切な事業計画か、確実に設備を運用するのか判断するために事業計画を審査基準に変更

また、旧FITでは設備認定と電力申請と呼ばれる、2種類の申請手続きが必要でした。

改正FITは、事業計画認定と電力申請に変わり、再生可能エネルギー設備の運用計画も含めて必要事項をまとめた書類を提出します。

ちなみに買取価格は、事業計画の認定を受けた日を基準としています。

• 2019年12月1日に設備購入手続き
• 2020年8月1日に事業計画の認定
• 2020年に更新された買取価格を基準に設定

認定開始日から運用までに期限が定められる

改正FITでは未稼働状態の案件を抑えるために、認定開始日から運転開始までに期限を定めました。(売電を始める日、電力会社との連係)

太陽光発電の場合、10kW未満は運転開始期限1年で認定失効となり、10kW以上は運転開始期限3年で売電期間短縮といった罰則規定を設けています。

また、災害や諸事情で申請が遅れても例外規定は一切ありません。ですので、余裕を持った準備および申請・運転開始計画を進めましょう。

買取価格の設定に入札制度の導入

改正FITでは、買取価格の更新時期と入札制度導入といった、価格に関するルールも大きく変わりました。

更新時期については、太陽光発電以外の4種類のみ数年スパンの更新となります。水力発電・風力発電・バイオマス発電・地熱発電は、認定申請から設備の準備・運転まで時間がかかるため、買取価格の更新スパンを伸ばしました。

太陽光発電の買取価格は毎年変わりますが、出力ごとに以下の形式に切り替わるのも特徴的です。

• 10kW未満:旧FITと同じく毎年政府によって改定
• 10kW以上50kW未満: 旧FITと同じく毎年政府によって改定
• 50kW以上250kW未満: 旧FITと同じく毎年政府によって改定
• 250kW以上:入札制度によって決定

メンテナンスの義務化

旧FITではメンテナンスに関する取り決めはありませんでしたが、改正FITでは認定申請と共に保守点検・維持管理に関する計画書の作成と提出を義務付けています。

メンテナンスに関する計画書には、スケジュールや人員配置・点検範囲・点検記録方法など、細かく記述および準備しなければいけません。

改正FITの利用要件と申請方法

再生可能エネルギーで売電を行う場合は、改正FITのルールに沿って申請手続きが必要です。

そして申請に必要な手続きは、主に事業計画と接続契約の2種類です。
【50kW未満の太陽光発電を導入する場合】
• 先に接続契約を送配電事業者へ申込む
• 連係承諾および工事負担金契約を締結
• 負担金を支払う
• 契約手続き完了
• 事業計画の申請書類を経済産業省へ提出
• 審査
• 事業計画の認定取得
• 太陽光発電設備の設置工事開始
• 運転開始

一般的に申請から認定までに3ヶ月程度はかかるので、早めに手続きを進めるのが大切です。

基本的な流れは旧FITと大きく変わりませんので、2017年以前に太陽光発電や水力発電などの運用を行っていた方は、変更点を中心に確認しましょう。

改正FITの見直しと現状

2017年に改正されたFIT法は、2020年度までに見直しを予定されていました。しかし、新型コロナウイルスによる影響を受けて、2020年4月15日時点で具体的な改正時期や詳細内容の決定など各種手続きが止まっています。

ちなみに改正FITの見直しは、特定の地域に自家消費設備の活用を義務付けたり営農型太陽光発電FIT認定の許可だったりといった点に力を入れています。

• 自家消費:売電せず非常用電源や自宅やオフィスで使用する運用方法

また、自治体と一体となり、再生可能エネルギーを活用する方針も示されています。

改正FITは電力会社や国民の負担を抑えるために見直された制度

2012年に制定された旧FITが、2017年に改正された制度を改正FITと呼んでいます。そして、改正FITでは旧FITで生じた問題を解決するために、再生可能エネルギー設備だけでなく事業計画も審査要件に含めました。

さらに未稼働状態の案件も減らすため、認定申請から運転開始までに期限を設けています。

これから蓄電池単体の導入を検討している方にとっては、改正FITの申請手続きは必要ありません。

しかし、再生可能エネルギーとの組み合わせも含めて考えている場合は、改正FITの規定に沿った申請手続きと準備が必要です。

▼FITと節約について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。
卒FITとは何か?上手に乗り切りさらに賢く電気を使う方法

改正FITについて詳しく確認したい場合は、蓄電池の施工業者に相談してみたり経済産業省のHPから調べてみたりしましょう。

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